佐藤悠「『わからない』ことから始める美術」WS開催されました

更新が遅くなって申し訳ございません。
去る3月17日、梅津会館にて、常陸太田市の子育てお母さんたちのグループ「くじらぐも」さんの取組みとして、アーティストによるワークショップが行われました!
今回ワークショップを行ってくださったのは佐藤悠さん。
(佐藤悠プロフィール:http://hitachiota-air.com/guest/profile/sato_yu/

2009年頃から全国各地で様々なアートプロジェクトを行ってきた悠さん。
実は私の大学の先輩であり、日比野克彦研究室の先輩でもあり、アートプロジェクトの先輩でもあります。

昨年の1月に金砂郷地区の郡戸幼稚園で行われた「第一回アートミーティング」で
常陸太田AIR初ゲストとして迎えたことが縁で、今回常陸太田の市民グループの方々からご招待を受けました。すごい!
常陸太田市との縁が着実に深まって広がっていることは、私にとってもAIRにとっても大変嬉しいことであります!!

悠さんが全国各地で行っている活動の1つに「いちまいばなし」という作品があります。
この作品はワークショップ形式になっています。
ワークショップとは、鑑賞ではなく、体験することで参加者の皆さんの内側に学びや創造をもたらす形式のことを言います。

そのため、はじめはこのような形で椅子を置きましたが・・・・
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ワークショップは全員立って、全身を使って行いました!
立つと意識がより積極的に「参加」する方向に傾く気がします。
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◎前半の部〜いちまいばなし〜◎

「いちまいばなし」はその場にいる人たちが1人1人リレー形式でものがたりを作っていくワークショップです。
悠さんが順番に「最初に何があったでしょう?」「そしたらそのあとどうなった?」「そのとき何て言ったでしょう!」などと問いかけながら、いちまいの紙に、物語の状況を書き込んでいきます。

くじらぐものメンバーの方やお友達の方々たち。最初からテンション高め!
身振り手振りも、お話の世界に入り込むほど大きくなります。
「こーなってあーなって・・」と真剣に語る姿に「うんうん、それでそれで」と合いの手を入れながら聞き入る悠さん。
意外な展開と発想の飛躍に、思わず笑う周囲の皆さん。
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まるで歌舞伎の「見せ場」のように、話の展開が盛り上がると拍手が巻き起こります。
なんというグルーヴ感・・・!!
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ひな祭りという季節感のあるキーワードを発端に、お月様→月のうさぎ→宇宙飛行士・・と連想していきました。
大きな話の流れに垣間見え、そして時折大きく物語を方向転換するのは、それぞれの個人的な悩みや日常からふっと舞い降りた「健康診断」や「コレステロール値の上昇」などのリアルなワード。
夢のような流れ、ありえない展開、急に現実的な出来事が混在し、しかもどう終結するか誰にもわからない!
「いちまいばなし」は毎回、ハラハラドキドキの一大スペクタクルが誕生します。


「いちまいばなし」は、物語を完成させることが目的ではありません。

人はそれぞれ全く違った考え方や発想を持っています。てんでバラバラな人たちが集まって1つのことを成し遂げようとする「プロセス」を「疑似体験」することが「いちまいばなし」のテーマなのです。
そのプロセスは必ず地域でのプロジェクトにも結びついてくる出来事です。

実はそれぞれが全然違うものなのだという発見、地域の中で沢山の人と何か1つのことを取り組む時のプロセス。そういった、なかなか目に見えない流れを「可視化(目に見える、自身で感じられる)」形にしたのがこの「いちまいばなし」なのです。

くじらぐもさんが悠さんをゲストに呼んだのは、その理由からです。


話が出来上がったあと時間に余裕があったので、これまで200話ほど作ってきた「いちまいばなし」の統計データを学びます。
悠さんならではの言葉のセンスで統計結果が示されていました。
なんだか、「いちまいばなし学」なんて講座を受けているような心地です。
面白かった〜。
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真剣で熱意があって、心の底から楽しんでいる参加者の皆さん。
悠さんにとっても有意義で持ち帰るエネルギーの多いワークショップになったように思います。


◎後半の部〜わからないから始める美術〜◎

後半はうってかわって座学です。
ワークショップでほぐした頭で、ちょっと難しい話に耳を傾けます。

アートってよくわからない。よくわからないからなんとなく敬遠してしまう。
でも実際、アートってよくわからないものなのです。
なんでわからないのかを知ることで、「わからない」の楽しみ方を学ぼう!
というのが後半のテーマでした。

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実は「アート」は明治時代に西洋から輸入された概念なのですよ。
だから「アート」が日本人にとってよくわからないのも仕方がないんですよ。
というところから、「何故わからないのか」「わからなくてもいいんです」を学びました。
そして「現代アート」という流れがどうしてできてきたかの歴史を紐解きつつ、「現代アート」のわからなさについて説明してくれました。
皆さん、「わからなくて当然です」という前提の上で話を聞いているので、内容がすんなり頭に入ってきたようでした。
最後は「アートの意味がわからない理由」がなんとなくわかってきました。

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逆光ですが、悠さん、お弁当食べながら皆さんとおしゃべり。
最後まで喋りまくってくれました。

ありがとう佐藤悠さん!


このワークショップの面白さや内容の深さは話しても話しても話し尽くせません。
会話を重ねても重ねても、人と人には距離があり、縮めたり深める余地がある。

私が「いちまいばなし」で感じたのは、年齢も育った環境も仲の良いグループも参加しているコミュニティーも異なる人たちから役職や立場がいったんリセットされ、一個人に戻るという現象です。
しがらみやとらわれを無くし、とても明快な脳みそで、シンプルで単純な行為で、自然と人とコミュニケーションを取ることができる。
人見知りであろうが、短気であろうが、頑固であろうが、誰でも同じように参加できる。
普段気にしている欠点が、実はその人の大きな魅力となって表れることもある。

日常で積み重ねてしまった「無駄な観念」を洗い流してくれる機会でもあるんだなと感じました。


地域の皆さんの熱意、悠さんの熱意。これからの常陸太田が、これからの悠さんの活躍が、非常に楽しみです。
今回は外に向けたものではなく、グループ内でのイベントだったため、広く告知することはありませんでした。
ですが、今後は悠さんのワークショップを体験する機会が何度も訪れる予定です!

悠さんがこれから常陸太田でどんな風に関わっていくのか!!!

乞うご期待!!!!

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